「まぁ冷静になれや」ビスマルクの哲学
今回は細々と続けているビスマルク研究について。
言わずと知れたビスマルクはプロイセン(ドイツ帝国)の政治家で米国国務長官キッシンジャーも学者として、政治家として研究対象としたという人物だ。
そのためビスマルクの政治手法は現代政治でも多分に応用が効くと考えられるのである。
昨年、英国の語学学校に通っていた時分、Henry Kissingerの「Diplomacy」を題材に講師と議論し、レポートをまとめてプレゼンテーションを行った。コースに在籍していた外務官僚にも面白いとお言葉を頂戴したので彼の外交姿勢について調べて感じたことを下記に記す。
結果彼の手法は主として5つある。
具体的な手段として
①Look at everything with cool eye
②Separate methods and goal
③Using softpower and hardpower
哲学として
④Realpolitik
⑤Everything in moderation
今回は①を取り上げてみる。
直訳すると「全ての事象を冷静に見つめる」ということになる。要するに、まぁ落ち着いて考えろやと。冷静になりなさいということである。
冷静に時局を読む中で、目標達成のためには何が必要なのか省察すること。特に彼の生きた19世紀は1819年英国によるシンガポール占領、1840年のアヘン戦争による列強の中国進出に代表される力の時代であり、列強は植民地や勢力の拡大を目指し、野心的に活動していた時代であった。
この時代にあって、ビスマルク治世のドイツでは植民地の獲得に一貫して否定的な立場をとってきた。
周囲に流されず時代を冷静に見極める目が外交に活かされているのである。