静かな夜にワインとビスマルクを

静かな夜に黙々と考えたことを綴ります。政治とかアフリカとか趣味とか…。

都知事選挙がアメリカの代理戦争の可能性

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小泉総理が脱原発を唱え、細川陣営に与した。

 

筆者はふと頭を抱えてしまったのだが、先日米国政治の有識者と懇談して謎が明らかになった。

 

筆者の理解はこうだった。

 

アメリカはGE(General Electric)をはじめとする原発推進国家だ。小泉氏が総理在任中、原発政策を容認したのはブッシュ大統領率いる米国政府との蜜月関係を維持するためであった。ところが小泉氏はあるタイミングから米国政府べったりの原発利権の推進者ではなく、脱原発を唱え細川氏と組んだ。

 

ひょっとしたら小泉氏は米国に嫌気がさし、真に日本に必要な政策を訴えるべく米国からの独立を志向し始めた。そのため、小泉総理は米国への反旗を翻し、脱原発に傾いたのだろうか。

 

しかし、米国をよく知る人はこう見ていたようだ。

 

民主党は原発推進派で共和党は石油・天然ガス推進派に区別できる。小泉氏はブッシュをはじめとする共和党との関係が強く、氏が脱原発を唱えたのは極めて自然。シェールブームの追い風を受けた米国では、このシェールを海外に販売するべく脱原発の流れを作りたい。そのための小泉氏の脱原発発言である。

 

「脱原発」をリトマス紙に、小泉氏が日本を憂う愛国老人なのか、相変わらず米国の代弁老人なのか理解できそうだ。ここで改めて答えを出すことは控えたいが、事実関係を確認したいと思う。

 

小泉氏は総理在任中の2005年10月、原子力政策大綱を閣議決定し、2005年度限りで太陽光発電の補助金を打ち切った。

 

まず原子力大綱の閣議決定だ。ここで小泉氏が原子力大綱の策定を積極的に主導したかが争点となるが、この大綱は1965年に策定された原子力開発利用長期計画の代わりにほぼ5年後にと改訂されてきたものだ。つまり、小泉氏が積極的に原発政策を推進したことの裏付けとして語られるべきものではなく、行政が流れ作業として策定し閣議決定したのではないかと考えられる。

 

次に太陽光発電の補助金の打ち切りについては、新エネルギーの根をあらかじめ絶っておくためと考えられるので、共和党の石油・天然ガス利権を守るためと考えられる。

 

さらに米国内の情勢を考えてみたい。2017年に選挙を控える民主党オバマ政権は政権交代し共和党に大統領の座を譲る可能性が高いと指摘されている。共和党候補が大統領になった時、脱原発の東京都知事が日本における脱原発運動を盛り上げてくれれば原発を削減した分だけ必要になるシェールオイル・ガスのマーケットとして日本は声を上げる可能性がある。

 

つまり今日本で起きている「脱原発論争」は、シェールオイル・ガスを日本に売りたい共和党(「脱原発」推進派の細川・小泉陣営)VS日本の原発依存を進めたい民主党政権(オバマ政権と日米同盟を堅持したい・「原発推進」自民党)の代理戦争とも言える。

 

舛添氏は脱原発を場当たり的に掲げたが、舛添氏を推す安倍自民党は原発の海外輸出や原発の再稼働に前向きであり原発推進派であることは明らかである。

 

共和党と民主党の対立から日本の政治も読み解くことができると考えると非常に興味深い。

 

とは言え、首都東京の知事を決める大戦である。前回の都知事選の62.60%超え、多くの人が都政へのコミットを表明すること、そして何よりその後の知事の行動を見守ることが今の政治混迷を止める唯一の道だ。ヒーローやトリッキーなマジックで政治は変わらない。候補者の地道な訴えにこそ耳を傾ける選挙になることを願いたい。