静かな夜にワインとビスマルクを

静かな夜に黙々と考えたことを綴ります。政治とかアフリカとか趣味とか…。

バランスゲームへシフトするアフリカ外交

先日、BLOGOSに鈴木宗男氏の元秘書で現在はコンゴ民主共和国政府科学技術省日本リエゾンオフィスで代表を務めるムウェテ・ムルアカ氏のインタビューが掲載された。

 

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"元鈴木宗男私設秘書"ムルアカ氏「日本人は諦めやすくなっている」 (1/3)

 

記事の内容はアフリカへの投資を呼び込み、日本の姿勢に警鐘を鳴らすものも含まれていたのだが、本日、ちょうどムルアカ氏に会う機会があったので、記事の補足的に氏が本当のところを何を考えているのか話を聞いてみた。

 

アフリカは中国の経済成長の恩恵を最も受けた大陸といっても過言ではない。昨年12月の「中国・アフリカ協力フォーラム」でも中国は600憶ドル(約7兆3,600憶円)の援助を表明。今後3年間で工業化、農業の現代化、基礎設備、金融、貿易及び投資、衛生、人的交流などでの協力計画を発表した。

 

筆者もアフリカに渡る度、続々と翻る五星紅旗の存在感は肌身で感じてきた。

 

日本がアフリカ開発会議(TICAD)を開催すれば、「中国・アフリカ協力ファーラム」などでアフリカの元首たちとの定期的な外交舞台を設置し日本のアフリカ外交に対し徹底的に対抗してきた。

 

中国はドナー国としての立場を確実に強めている。

 

しかし、ムルアカ氏と話をしていて気付かされたのは中国の進出を思いのほかアフリカ人が歓迎しておらず、氏の言葉を借りるならむしろ「中国を進出させすぎたという思い」があることだ。そして、旧宗主国勢力、中国勢力、中東系勢力、インド系勢力、日本勢と様々な勢力をバランスよく配置することで一番おいしいところをもっていくという「バランスゲーム」のおいしさにアフリカ各国が気付き始めているということだ。

 

日本サイドでもカバンの大きさではなく、きめ細やかさや高い医療技術力などで中国とは差別化を図るという戦略へのシフトが見られる。

 

どのような中身で対抗していくのか、カネを撒くだけというアフリカ外交から知恵を出すというアフリカ外交へ。

 

今年はアフリカで初めてのTICADも開催される。日本の努力も見ものだが、アフリカ各国が日本に何を期待し、日本にはどのようなバランサーとしての機能を求めるのかに注目したい。