静かな夜にワインとビスマルクを

静かな夜に黙々と考えたことを綴ります。政治とかアフリカとか趣味とか…。

中国のアフリカ進出は次の段階へ。

アフリカで新しい帝国主義が動き始めている。

 

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中国が多額の投資や人海戦術を駆使してアフリカ大陸でうごめいていることは周知の事実だが、最近その動きに変化が見られる。先日、国連大使を務められた大島賢三氏の話を聞く機会があった。氏によれば最近の仏紙ル・モンドで中国とフランスがアフリカで協力体制を構築するという枠組みが少しづつ完成しつつあると報じていたとのことだ。

 

帝国主義国同士が利害関係の一致で同盟関係を構築することはよくある話だが、今回の中国とフランスの協力というのは単に帝国主義国同士の利害の一致という文脈でみることができるのだろうか。

 

フランス側からしてみればアフリカ各国に惜しみない投資を行う中国の潤沢な資金力は魅力だ。また、中国側からしてみればフランスの技術力や旧植民地のリーガル面に強いというソフトパワーは魅力的なもので金を払って得られるのなら安いものだという考えのようだ。中国側からは兼ねてよりフランスに対してアプローチは試みていたようだが、これまではフランスもこれを歯牙にかけなかった。しかし、中国が莫大な額の投資をすることも辞さないという昨年末の決定はこうした旧宗主国対して揺さぶりをかけるのに十分だったのだろう。

 

昨年末の英国と中国の総額140億ポンド(約2.4兆円)の経済協力といい、中国は旧宗主国への札束外交を加速させている。

 

この延長線上にはアフリカにおける権益の獲得があると筆者は見ている。旧宗主国を

味方につけ、中国が生き残りに必要な資源をもつアフリカに生存圏を樹立しようとしている。

 

とはいえ、携帯電話やSNSが重要なツールになりつつあるアフリカにおいてトップ同士のこうした決断は大多数を占めるアフリカの民衆に受け入れられるとは限らない。アフリカには旧宗主国に対する根強い反発があることも事実だ。中国と旧宗主国の協力がアフリカに何をもたらすのか。日本の独自性はますます問われているといえよう。