高まるユーロリスク~不確実性の増すヨーロッパの明日~
シリア難民の中にイスラム国が戦闘員をまぎれこませヨーロッパに潜入させたとDaily Expressなど複数の報道機関が取材により明らかにしている。
難民を装って潜入した戦闘員の数は4,000人との報道があるが正確な数はいまだに把握できていない。
ヨーロッパは波乱含みだ。
先月英国において、第二次世界大戦の終結式典でエリザベス女王の暗殺を狙った爆弾テロが未然に防がれたばかりである。
これを受けて英国のキャメロン首相は7日、議会における演説でこの12ヶ月の間に警察や特務機関(主にMI5の対テロチーム)によって未然に防がれたテロが少なくとも6件あったことを明かしている。
ヨーロッパ本土に目を向けてみれば昨年末、世界を震撼させたシャルリー・エブド誌を狙ったテロ事件が記憶に新しいが、あの問題の本質は
①ヨーロッパ全体に武器が拡散してしまっていること
②犯罪に手を染めるものが容易に武器にアクセスできるような体制がヨーロッパ全体に構築されつつある
ということだった。
事実、欧州委員会の発表している違法武器に関する報告書(2013年)によれば90年代以降西バルカン地域や旧ソ連諸国からヨーロッパに武器が流入していることが指摘されている。
シリア情勢の不安定化やリビアの崩壊によってさらなる武器の流入が進んでいる可能性も指摘されている。
一説にフランスの国内だけでも2万丁の銃が出回っているとされる。
シャルリー・エブドーの事件で実行犯はベルギーの古物市場で武器を調達したとされヨーロッパ域内での武器の拡散は見過ごせない水準にまで達している。
ご存知のとおり武器は道具だから使う人間がいなければ脅威にはならない。
しかし、武器の拡散が進むヨーロッパにおいて本当にイスラム国の戦闘員が大量に潜入したとなると由々しき事態である。
ヨーロッパの情勢からしばらく目が離せそうにない。