静かな夜にワインとビスマルクを

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ジャトロファがアフリカを救うか?!~モザンビークの地方創生~

ジャトロファという植物がある。

 

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日本名はナンヨウアブラギリ(南洋油桐)というものだ。この植物はその種を搾油してするとオイルが出るのだが、そのオイルがA重油や軽油の代替燃料として使用することができるというものだ。

 

実際、2009年1月30日、日本航空がジャトロファを利用して飛行機を飛ばし羽田~仙台間で1時間の飛行に使用するという実証化実験に成功している。実はこのジェトロファは旧日本軍が戦争末期に研究をしたという記録も残っており、実証化への試みには様々な立場の人たちが取り組んできた。実証化実験が成功した2008年付近は原油価格の高騰が世界的な話題となり原油代替燃料の開発には追い風となったという背景がある。

 

その後、日本ではあまり注目されなくなったがアフリカ、モザンビークの地でその栽培と実証実験が進んでいる。東京大学や金沢工業大学、久留米大学とモザンビークのエドワルド・モンドラーネ大学が共同で実証化実験を続けている。

 

モザンビークといえば海洋に世界有数の大規模なガス田が発見され天然ガスの開発が進んでいるエネルギー大国だ。そのモザンビークでもバイオ燃料の研究が進んでいるのは地方部の事情がある。

 

モザンビークにおいてエネルギーの恩恵を受けられるのは首都マプートとその周辺といわれる。経済発展に必要なインフラである電気を見れば地方部では2014年現在でも電化率は6%程度に留まっており、エネルギーの恩恵は地方部に行き届くにはまだまだ時間がかかる。

 

そんな中でジャトロファを発電に使い、エネルギーの地産地消を実現しようという取り組みが進んでいる。ジャトロファはオイルが主たる産物だがランプ油などの固形燃料なども副産物として生産することができる。オイルを使って発電を行い、その副産物を製品として販売することで地方部の所得向上にも役立てることが狙いだ。

 

モザンビークをはじめとする南部アフリカには無電化村民が6億人、さらに世界の途上国においては無電化村民は約20億人といわれる。モザンビークの地方創生がうまくいくのか。うまくいけば電化と所得向上が実現し世界の地方部の在り方がガラッと変わる。

 

ジャトロファは食物としては適さず、荒れ地でも生産できることから、かつてのバイオ燃料のように耕作地で競争せず人々の飢えを誘発するものではない。

 

モザンビークの地方創生の旗振り役に日本がなれるのか。目が離せない。