静かな夜にワインとビスマルクを

静かな夜に黙々と考えたことを綴ります。政治とかアフリカとか趣味とか…。

東京オリンピックと地政学

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少し前のことになるが2020年のオリンピック開催地に東京が決まった。

 

中国人民解放軍の海軍建設のスケジュールによるとこの2020年という年は中国が太平洋進出のための総仕上げにかかる年であるらしい。伊豆諸島からグアム・サイパンを結ぶ第二列島線の突破をこの2020年に設定しているというのだ。

 

実際、これまでは第一列島線(九州から沖縄・台湾・フィリピンに至る線)内での海洋調査が主だったが、近年では第二列島線での海洋調査数が増えていることが確認されている。2015年までに中国海軍艦艇および装備は近代化が一巡するとされており、現在のところこのスケジュール通りに計画が進んでいるようだ。

 

こうした背景を考えれば東京オリンピックは国際政治的にも非常に重要な意味を持つ。

 

2020年に東京でオリンピックが開催されるということは、世界の注目は日本に集まる。建設中のスタジアムの進捗状況とか、日本の治安は安全かとか様々な面で日本への注目が注がれることになるだろう。

 

なによりオリンピック開催で最も重要なのはその国が安全保障上安定しているかである。オリンピックの開催中に隣国と戦争を始めてしまうような国ではとてもオリンピックは開催できないし、何より自分たちの国の優秀な選手たちをそんな危ない場所に派遣することなどできない。

 

楽観的な見方になるがこの2020年までにアメリカは日本の周辺事態の安定化に力を注ぐ可能性が高い。先日、ニューヨークで活躍するエコノミストの話を聞いたが、2014年にアメリカ経済は回復局面に入るとの見方が有力とのこと。アメリカが来年以降経済力を回復させると様々な局面で波及効果が出るだろう。東アジア情勢への注力が加速する可能性がある。辺野古の移転をはじめ、沖縄周辺の安全保障体制は2020年までに磐石なものになる可能性が高い。

 

日本国内でもこの2020年までに憲法の改正が進み個別・集団的自衛権のあり方もひとつの節目を迎えることになるだろう。自衛隊の先制攻撃のあり方の含めた見直しになるはずである。現在の第二次安部内閣は長期政権になる可能性は非常に高い。

 

安部政権の本質は保守政治の復活であり、憲法の改正が大目標のはずだ。言葉を選びながら慎重に政権運営を行っているが、いずれかのタイミングで憲法の改正は争点に挙げられるだろう。

 

東京オリンピックの開催年が日本の安全保障環境の再編にとって重要な年になることは明白だ。2020年までに日本の安全保障環境を考える機会が増え、議論が深まればと願わずにはいられない。

アフリカの諺Ⅰ

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早く行きたいなら1人で行けばよろしい。

遠くに行きたいなら皆で行く方がよい。

 

If you go fast, you can go alone.

If you go far, you need to go together.

 

アフリカには沢山の諺がある。昔から人々は諺を伝えることで本質的に大事なコンセプトを伝承してきたそうだ。

 

ナイジェリアの友人から出た言葉がこれ。

 

目先の利益を考えて早く事を成し遂げたいなら、1人でもできる。長い目で見て行動したいのなら、仲間と共に行く方がいい。

 

また1つアフリカに教えてもらった。日本人がアフリカに与える一方でいいと考えるのは驕りだと思うのは私だけではないだろう。

 

 

「若い力」に頼る候補者の落とし穴

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先日とある女性が外資系企業のCEOに出したというメールがインターネット上で話題に出た。

 

「私は若いし美人だ。年収4,000万円の人と結婚するにはどうしたらいいのか?」というもの。

 

このメールを受けたCEOはこう答える。

 

「あなたの美貌にも若さにも投資する価値はない。なぜならいずれ失われてしまう。いくら若くて美人でもそんなものはお金のある人ならいくらでもレンタルで代用できる」と。

 

レンタルとはすごいことを言ったものだと思うが、同じような状況は政治でも起きている。

 

どんな選挙でも選挙区に1人は「若い力で!」というキャッチフレーズを掲げた若い候補者が立つ。ここでいう「若い」というのは、高齢化が進む中で若者の声を代弁する人とか新鮮な思考でとか、体力があるという意味だろう。確かに高齢化の進む中、 議会内で若者の比率を一定数維持することは重要だと思う。

 

しかし、正直うんざりだ。若いからなんだというのだ。

 

若いというのは十分条件であって、必要条件ではない。重要なのはこれまで何をしてきて、これから何をしようとしているのかというその中身だ。若さはいずれ失われる。筆者も若い世代に分類されるが、若さをウリにしている候補には一切期待していない。申し訳ないが「若いです!だから政治家になりたいです!」という若者の何を見ればいいというのか。

 

強いて言うなら期待値で評価する他ない。言葉は悪いが馬鹿丸出しである。

 

有権者にしてみればこれから税金を投資するわけだ。投資に見合う人間かどうかを評価する基準に若さは入らないだろう。ただ残念ながら小さな地方の選挙区に行けば、若さをウリに当選してしまうこともある。

 

年齢を声高に叫ぶ政治を捨て、中身で勝負する政治へ。年齢に甘えることなく、いい意味での若さで勝負する 政治が必要だと痛感している。

 

政治家にボーナスという考え方は適切か?

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ボーナスの季節が近づいてきた。

 

半年の苦労がどういう形で反映されるのか、今から気になっているサラリーマンたちも多いと思う。2013年夏のボーナスは東証第1部上場企業139社平均で対前年同期比で0.6%減、金額にすると3970円減だったとのこと。(一般財団法人 労務行政研究所調べ)景気動向もそんなに芳しくよくなったとは言えなさそうなので冬のボーナスも夏と同等かさらに減少するかもしれない。

 

さて、日本にはどんなに不景気でも、どんなに仕事をしなくても、一定の給料とボーナスをもらえる業種がある。

 

政治家である。

 

ボーナスとはそもそも夏、冬2回に分けて企業の業績と社員個人のパフォーマンスに応じて支給されるものだ。当然企業の業績は毎期変動するし、社員のパフォーマンスも個人差がある。つまり、ボーナスという考え方は①会社の業績②社員のパフォーマンスという2つの変動要因から成り立っているわけだ。

 

サラリーマンの感覚からすると一生懸命働いても、働かなくても同額が毎年もらえることなどない。企業の業績が落ち込めば、自分自身のパフォーマンスが高くてもボーナスの減額を甘んじて受けなくてはならない。

 

筆者はかねてよりボーナス本来の考え方に基づき、議員賞与(ボーナス)については①各自治体・国家財政の状況②議員個人のパフォーマンスに基づいて支給されるべきだと主張してきた。

 

そもそもサラリーマンと違って1年の平日のほぼ全てを仕事にあてているわけではないので、年2回のボーナス支給という考え方もそぐわないのではないかとも思う。

 

議員という仕事を考えてみると、議会の構成要員として行政などの「統治する側」の監視要員だ。不正が行われていないか、お金の流れは適正かをチェックするわけだ。これをチェックするための権力が選挙を通じて与えられていることになる。「統治する側」の監視要員というのは「統治される側の代表者」としての立場でもある。

 

さらに、国政レベルになると入閣を果たすことで行政府の要員として「統治する側」そのものになることもある。地方行政でも財政再建のために社会福祉費を削って予算の縮減を行うなど「統治する側」の立場としての決定をすることもある。

 

つまり、政治家とは「統治する側」の人間であり、同時に「統治される側の代表」でもあるのだ。

 

今回の秘密保護法の議論のようにあまりに「統治する側」の色を強めると「統治される側」の色が失われ、そもそも自分自身の権力の存立基盤を否定することになりかねない。「統治する側」の色を強めれば、「国家の利益>国民の幸福度」という状況になるし、「統治される側」の色ばかり強めると「国家の利益<国民の幸福度」という状況になって国家そのものが崩壊する。

 

「統治する側」と「統治される側の代表者」の間でバランサーを演じるべき政治家がどちらかに傾斜を始めると国家も国民もそもそも成立しなくなる。

 

財政状況にも関係なく、個人のパフォーマンスにも関係なしにボーナスをもらえるという現行の仕組みは、明らかに「統治する側」としての立場を強めたものであるといえる。本来、行政のお金の流れや不正をただす仕事の監視員が行政と一緒になってお手盛りで有権者からの税金をボーナスにしてしまおうというのだから談合もいいところだ。「統治される側の代表」としての立場はどうなっているのか。

 

「統治する側」の人間として、さらに「統治される側の代表」として本当のポジションを政治家が取り戻すために国民も働きかける時期にきているのではないだろうか。無関心ではいられない。まずは地元の地方議員の足跡をつぶさに追ってみることをおすすめしたい。会社にボーナスの額は決められても、政治家のボーナスの額を決めるのはあなたなのである。

雑談は怖い〜雑談力:ビジネストークの最適割合は?

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就活生の相談をたまに受ける。

 

「コミュニケーション能力は必須ですね。」と人事によく言われるんだそうだ。

思わず笑ってしまった。

 

「コミュニケーション能力」とか偉そうに募集をかけているわりに、筆者のいた会社に「コミュニケーション能力」が高いと思える人に出会ったことがあっただろうか。そもそも人事の諸君が求める「コミュニケーション能力」って何なのだろう。

 

筆者は海外営業にいたが取引先と仕事の話でしか盛り上がれない輩が沢山いた。特に外国人相手だと接待の席で無言が続く、気まずい雰囲気になる。やっと口を開いたと思ったら仕事の話から始める。全く盛り上がらない。でもまた飲みましょうという。もういいよと何度思ったことか。そもそも相手させられる相手が可哀想だ。

 

筆者は国会議員の秘書時代、よくマスコミの記者さんと懇談したが、本当に仕事上手だなぁと思う記者さんはほとんど雑談していた。「そうそう、⚪️⚪️といえばあれっすよねー今度の国会で…」と思い出したように話題を振って聞きたいことをさりげなくピンポイントで聞いてくる。

 

雑談の延長のような気もしているからこっちも油断している。実に見事である。

 

本当に仕事ができる人の会話というのは8割雑談、2割ビジネストークなんだと思う。

 

雑談というのは相手の周辺情報をさりげなく聞き出すのにうってつけの手段だし、雑談の操縦方法によっては実は本当に聞きたかったことを煙に巻きながら聞くことができるトラップだ。もちろんアイスブレークの役割もあるが、それ以上に恐ろしい武器だと筆者は考えている。

 

ビジネスだなんだと言ったって所詮は人間同士のやり取りだ。相手を知り、仲良くなるのが大事なのだ。

 

筆者はよくサラリーマン時代、外国のお客さんのアテンドをさせられたがとにかく雑談した。相手の人となりも分かるし、好みも分かる。子供がいてどんなことに興味があるというのを聞き出せればその子のためのプレゼントを用意してやることもあった。

 

「雑談で相手のことをよく知る」→「顔を覚えてもらう」→「好きになってもらう」というのがいいビジネスの前提条件だと思っている。

 

ビジネスでしか話が盛り上がれない人というのは、例えれば正規軍でゲリラに挑むようなものだ。話のフィールドがビジネスであればいいが、いざ伏兵が出てくると対処できない。 

 

学生のうちは色んな大人と雑談できるチカラを磨くといいのではないか。ビジネスのことなど社会に出てから覚えればよい。雑談ができる大人になれば侮りがたいビジネスマンになるとお伝えしている。

不良論〜「不良社員」の活かし方

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前回は「クソ上司」について書いた。

 

今回は「クソ部下」、つまり不良社員について「不良社員」だった筆者が考察してみたい。

 

会社というものを語る以上、「不良」とされる人たちが出てきてしまう。日本では空気を読まない社員、その会社では常識とされることを疑う社員なども「不良」として認められてしまうので一概に定義するのは難しい。強いて定義するなら「みんなと違ったことをやっているやつ」ということになるだろうか。

 

日本社会はとにかく「不良」というレッテルを貼りたがる。ちょっとこいつ変だなと思ったら「不良」認定されてしまう。「不良」と言及されなくても「ヘン」なやつというレッテルで差別化したがる。差別化して自分の優位や「ふつう」さを証明したがるのだ。正直、これはナチスの人種政策となんら変わらない。「お前たちはアーリア人ではないから劣等人種だ!」と。こういうレッテル貼りによる「ふつう」の肯定を一刻も早くやめないと日本を救うような人材は出てこないだろう。

 

会社も一緒だ。

 

「ふつう」と呼ばれる人たちだけ揃えば、茶坊主のようなゴマすりや上の言うこと絶対の兵隊君しか生まれない。

 

日常の業務をこなすだけならそれでいいのだろう。

 

しかし、会社組織がひとたび窮地に陥った時に茶坊主や兵隊君では会社は救えない。これまでの環境で業務を遂行することでしか能のない人たちなので、環境が変わることについていけない。

 

組織を救うのは「不良」とされるちょっと変わった人たちだ。組織が違った外部環境に置かれ硬直状態に陥った時、「ヘン」とされた「不良」たちならアイデアを出すことができる。会社組織がたちいかなくなるということは、「不良」がこれまでおかしいと思っていた環境がやっぱりおかしかったことが証明されたということだからだ。

 

これまでの環境に違和感を感じていた人たちなら、何がおかしいのか分かる。茶坊主や兵隊君はこれまでの環境の何がいけなかったのか分からない。

 

いつの時代も危機を突破してきたのは「変人」と言われる人たちや「たわけ」と言われてきた「不良」たちなのだ。「不良」だといわせておけばよい。「不良」の真価は有事の時にこそ証明される。今がその時ではないだけだ。

 

信長もアインシュタインも当時の人には「変人」とか「たわけ」とか言われてきた。それでも負けなかった。磨くべきは自分。信じるは自分の信念。「不良」だと言われたらトコトン突き詰めてやればよい。

 

「不良」が時代を切り開き、それに茶坊主と兵隊君がついてくる。

 

腐らず、爪を研いでほしい。

 

そして、会社はこういう「不良」こそ大事に温存しておかなければならない。これまで散々いたぶってきた「不良」たちに救われる日はいずれくるのだから。

 

 

「クソ上司」の類型〜原因訴求タイプ

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半沢直樹に触発されて今までどういう「クソ上司」がいたかを考えていた。

 

「クソ上司」の生態を明らかにすることが日本のサラリーマンのストレスを根本的に解決する方法だと信じてやまない。 何よりも組織を健全化し若い人たちにやりがいのある仕事環境をつくることにも繋がってくる。

 

名前は仮にWindows 氏としておこう。ちなみに決してWindows社の製品を馬鹿にしたというわけではない。窓際に座っていたというポジション的な問題と情報処理能力がWindowsが出たてのパソコン並みに遅かったからだ。

 

このWindows氏、何か問題が起こると「なんでこういうことになったぁー?!」と騒ぎ始める原因訴求タイプだった。

 

なにか問題が起こるとその理由の詮索から始めるのだ。どんなに現場が次の手を考えていてもである。

 

このタイプは上とか横(同期とか同じような役職の人間)とかを常に見ているから、どう説明できるか、どうやったら自分で責任をとらなくていいかということをまず第一に考えている。だから、次の対応よりも事後の説明の方が先にフラッシュバックしてなんでこうなったんだ!という叱責と理由の訴求を始めるのだ。

 

現場は当然大混乱。次の手をチーム総出で考えているときに、原因究明しているヒマなんてないからだ。

 

こういうタイプの上司にはこちらも早急に対案を出し、指示を出させるような流れを作る他ない。原因訴求の暇を与えず、間髪入れずにこちらから弾幕を張るしかない。クイックなレスポンスで対応できるようにするのが大事だ。

 

どうしても原因がなんだったのか知りたいようなら、大局を示してやる。上司や横への説明よりは今は社外に対する対応が必要でしょうと。

 

この「クソ上司」に原因訴求のための会議を2時間やられたこともある。それも対応の最前線にいる担当者全員を集めて。もう現場は動けない。取引先に対して何もリアクションを起こさないということの方がよっぽど問題なのにも関わらずだ。

 

それでいて情報処理のスペックが出たてのパソコンかワープロ状態だから会議も一向に前に進まない。ジジ…ジという処理音が聞こえてくるレベル。

 

あまつさえ指示語が多くて何を言いたいのかほぼ不明。「あれかーあれはどうなってるんだー?」といった具合。昔、竹下首相が「言語明瞭、意味不明瞭」と言われたがこのお方の場合、「言語不明瞭、意味もっと不明瞭」。

 

問題が解決または社外への対応がひと段落してから原因究明を図ることは重要だ。次に同様の問題が起こらないように経験を蓄積しておくのだ。問題のある担当者は当然、叱責される。しかし、それを事態解決のプロセスの途中でやるというのがいかに愚かなことかわかっていないのだ。

 これを戦場に置き換えてみよう。

 

「体長!機関銃の玉が詰まりました!」

「なんだとぉ?!このバカちんが、至急銃器メーカーに問い合わせだ!なんで詰まったかおしえろー!」

 

戦場なら原因究明中にあえなく全滅である。

 

玉がでないなら何が武器になるかを考えて次の手を打たなければならないだろう。

 

こういう「クソ上司」は一度レンジャー訓練でも受けてリーダーシップというものを戦場で考えたほうがよい。こういう仕組みはないものかと知り合いのレンジャー教官に本気で相談したこともある。(ちなみに教官は自衛隊幹部が民間企業で学ぶ仕組みはあるんですがねぇと苦笑いしていた。)

 

立場ごとに違った正義があるというが、少なくとも大局的判断ができるよう働きかけるのは「クソ上司」の部下の仕事なのだろう。

 

【「クソ上司」からの教訓; 原因訴求型上司にはクイックレスポンスで反撃!今やるべきことを示し働きかけてやるのが部下にできる最善策!!その後で「倍返しだ!」】